認定薬剤師取得を目指すなら、学会の学術集会に参加したほうがいい話

学会・研究会

認定薬剤師を目指すなら、学会の学術大会に参加して最新の知識と動向を把握することが重要である

そもそもの話:認定薬剤師って必要なの?

なりゆき薬科大学では、薬剤師としての成長と実績を示す証として認定薬剤師・専門薬剤師の取得(を目指すこと)をお勧めしています。
そもそも認定薬剤師って必要なの?という疑問については、別の記事がありますのでそちらご参照ください。


本記事では、認定薬剤師を目指している方、すでに取得している認定薬剤師の維持、更新を目指している方に向けて、学会の学術集会に参加することの意義や必要性をまとめたいと思います。

学会とは何か?

まず、学会ってどういうもの?
「学会」は組織・団体のことを指します。

学会(がっかい)とは、学問や研究の従事者らが、自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場である。 また同時に、査読、研究発表会、講演会、学会誌、学術論文誌などの研究成果の発表の場を提供する業務や、研究者同士の交流などの役目も果たす機関でもある。
(出典:Wikipedia)

学者・研究者たちが互いの連絡,知識や情報の交換,研究成果の発表のために組織した団体の総称。
(出典:世界大百科事典 第2版)

学術集会とは何か?学会との違いは?

じゃあ、学術集会っていうのは何?学会とは違うの?
一方で、学術集会は、学会が企画・開催する「盛大な勉強会」そんなイメージです。

主催団体によっていつくか言い方があります。

  • 学術集会
  • 学術大会
  • 学術講演会
  • 年会

これらはどれもみんな同じ意味です。
注意が必要なのが

  • 総会

です。
総会は、学術集会を指している場合と学会の運営方針を決定したり、財務状況の報告や承認を行う普通の会議を指している場合があります。
会議のイメージは全校集会みたいな感じです。ただし、この会議の総会は、出席するべきひとが限られているので、大々的にPRしません。我々の耳に入ってくる総会は、ほとんどの場合で学術集会を指しています。

ここで、ちょっと頭をこじらせる話をしますが、
「学術集会」のことを「学会」と呼ぶ習慣があります。なので「学会」には、「組織・団体」を表す本来の意味と、「学術集会」のことを表す別の意味があります。

  • 学会に入った=組織・団体に加入した
  • 学会に行った=学術集会に参加した

と、日本語でよく省略される目的語?が異なり、会話の誤解を招くことがあります。
めんどくさい話ですが、一応注意しておきましょう。

学術集会はある意味「お祭り」

話を学術集会に戻します。
時に最近は、様々な嗜好を凝らした?PR戦略や企画が実施されていて、それを揶揄して「お祭り」や「フェス」と表現される方もいます。

確かに、多くの講演やシンポジウムが同時多発的に開催されていますし、そこに多くの人が集まり意見交換をするその光景は、確かにお祭りのようなワクワクした気分になります。

著名な先生の講演などは、IT技術発展の恩恵でオンラインで拝聴することができるようになってきました。
それでも、みんなが集まり、同じ空気を吸って、Face-to-Face での議論に意義があるのだという主張が今はまだ主流です。

その理由の半分は、アフター5の飲みニケーションが含まれているように思います。
そういう場もまた、見分を広げるいい機会にはなります。
筆者自身はあまりそういう場が得意ではないので、あまり参加しませんが、決して否定されるべきものではありません。

認定薬剤師になるために学術集会に参加するべき理由

さて、では、なぜ、認定薬剤師を目指すのなら、学術集会に参加するべきなのか?

認定薬剤師は大別すると2つに分けるとわかりやすいという話を別の記事で記載しています。

  • タイプ1:努力を評価して認定する認定薬剤師
  • タイプ2:実力と経験を評価して認定する認定薬剤師

2つのタイプの違いについては、こちらの記事をご参照ください。


学術集会への参加は、学ぼうとする姿勢や努力の表れでもあり、実際に多くを学ぶことができるため、実力を得ることができます。
つまり、2つのどちらのタイプについてもそれぞれの認定ポリシーに合致します。

努力の証+知識のブラッシュアップ=認定薬剤師への近道

ということです。

認定薬剤師のための単位がまとめて取得できる!?

認定薬剤師の取得には、研修会等に参加することで「単位」を習得する必要があります。
ぶっちゃけ話、研修に参加してシールや受講証をゲットすることです。
分かりやすい表現として「ポイントラリー」と表現しています。

この単位が、学術集会はたくさんもらえることが多いです。
一例として、2019年11月に開催された「第29回日本医療薬学会年会」では公式HPに以下の記載があります。

日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師の場合、日本医療薬学会年会は3日間の開催ですから、3日間フルに参加できた場合は

3単位/日✕3日間=9単位

が取得可能です。
初回の認定に必要な単位数は40単位ですから、この3日間だけで約 1/4 の単位が得られてしまうわけです。

もっとも、3日間参加すると、かなり疲れます。いろいろ吸収しようと頭を働かせますからね。
それに、開催地が遠方の場合は交通費や滞在費もかかります。
職場で補助してくれる場合も多いですが、それでも自己負担が全くないということはないでしょう。
自己投資として、ケチってはいけないところだと思いますが、それでも生活に影響が出ない範囲で、ということになろうかと思います。

学術集会は多くが土日祝日開催だが、悪いことばかりではない
薬剤師は、平日だと業務を休むことができないからと、こうした学会の学術大会は週末や祝日に開催されることが多くあります。
医師の学会が平日に開催されることがほとんどなのと比べると、働き方改革が叫ばれる今日において、ブラック感満載ではあります。
それでも、幅広く、多くの薬剤師が参加できるという意見もあって、いまでも休日開催が維持されています。

ただの思考停止ではないかとも思いますが、ここで書いても現状は変わらないのでこれ以上の批判は避けます。

さて、とはいえ、です。
休日開催であれば、多くの薬剤師は本当に休日なわけです。
有給休暇を取得するとか、そういう勤務調整をすることなく参加することができるという良い面を強調しておきます。

はじめの一歩として、参加をおすすめする学術集会

学生時代に1回くらいは学会参加を経験したことがある方も多いと思いますが、それでも、「さて、どんな学会に参加すればいいのだろう?」という疑問はあるでしょう。

筆者が、まずおすすめしたいのは

  • 近くで開催される医療薬学系の学術集会
  • 例えば、各地方(ブロック単位や県単位での)の薬学大会など

です。
何より参加してみることが第一です。
ブロック大会とか地方会とかいって、ある程度近場でやっているものがあるはずです。
これらの学術集会も全国規模ではないにせよ、そこで行われている内容は、それほど大きく変わりません。
ただ、全国規模の学術集会のほうが、質的にも量的にも多少レベルが高くなっていると思います(そうじゃないと、全国規模の意味ないですからね)。

それでもなお、どれかと言われれば、超オーソドックスなところでは以下の2つです。

  • 日本医療薬学会年会(例年:9月~11月)
  • 日本薬学会(例年:3月)

日本薬学会は、どちらかというと基礎系の学会なのですが、最近は医療薬学系の演題が増えてくる傾向にあります。
ただ、開催時期が3月末と年度末の多忙期にあたり、しかも平日が含まれるので参加しづらい日程ではあります。

なお、わざわざ書くことではないのかもしれませんが、日本薬剤師会学術大会は、学術集会としては正直あまりお勧めではありませんが、参加することで、もちろん得られるものはありますし、単位についても同じように単量ゲットが可能です。

また、日本病院薬剤師会の全国規模学術集会は会員限定で参加人数上限があるなど、ちょっと敷居が高い感じなので、同じようにおすすめはしていません。

薬剤師会・病院薬剤師会主催の学術集会は、いずれも地区単位で開催されているものに参加してみてください。


この記事の執筆者

なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)
現役の病院薬剤師(勤務歴20年)
複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり