日本病院薬剤師会の○○認定薬剤師の実務経験要件が5年から3年に短縮

がん薬物療法認定薬剤師 感染制御認定薬剤師

日本病院薬剤師会が認定する認定薬剤師の認定要件(日病薬のHPでは「認定申請条件」と言っています)が、今年変更になりました。

その中で、一番大きな変更は、認定するまでに必要な実務経験年数の短縮です。

2つのタイプの認定薬剤師

なりゆき薬科大学では、「認定薬剤師には、大きく分けて2つのタイプがあることをお伝えしてきています。


今回は、そのうちの「経験と実力を評価するタイプ」で、ある特定の領域における専門性を認定する認定薬剤師になります。

5つの○○認定薬剤師で要件変更

今回、実務経験の必要年数が短縮される○○認定薬剤師の制度は、具体的に、以下の5つです。

それぞれの認定薬剤師における認定申請資格が2020年4月1日付けで改定施行され、実務経験年数が以下のようになりました(いずれの認定においても同じ記述です)。

(2)薬剤師としての実務経験を3年以上有し、日本病院薬剤師会の会員であること。ただし、別に定める団体のいずれかの会員であればこれを満たす。
認定申請資格より一部抜粋

旧要件では以下の通り、実務経験は5年以上の記述でした

(2)薬剤師としての実務経験を5年以上有し、日本病院薬剤師会の会員であること。ただし、別に定める団体のいずれかの会員であればこれを満たす。
認定申請資格より一部抜粋

5年が3年に短縮ですからね、割合にして40%減です。これは大きいです。

つまり、より早く、あるいは より若くして〇〇認定薬剤師を取得することが可能になったわけです。

実際に申請〜認定の手続きをするのは4年目

具体的には、卒後、最短4年で○○認定薬剤師になることができるようになりました。
少し理解するのにややこしいのは、「3年の実務経験」とは「丸々3年間を経過すること」になるので、実際に試験を受けたり申請をしたりするのは4年目になります。

経験年数短縮は、要件の緩和か?

「専門的な認定資格の要件を緩和したら、レベルが下がるんじゃないのか?」
「3年では経験が足りないよなあ」

そんな心配・・・する人いるのでしょうか?
いても少数派でしょうし、ちょっと時代遅れかな(汗。

そもそも、現実的に、他の要件を満たすことも考えると、最短で取得する道は必ずしも「簡単」ではありません。

他の要件が、なかなかヘビーです(笑。

各認定に共通していることを一部挙げます。

(4)日病薬病院薬学認定薬剤師であること。ただし、日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であればこれを満たす。
(6)日本病院薬剤師会が認定する○○領域の講習会、及び別に定める学会及び団体が 主催する○○領域の講習会などを所定の単位(40時間、20単位)以上履修していること。 ただし、日本病院薬剤師会主催の●●に関する講習会を1回以上受講していること。
認定申請資格より一部抜粋

日病薬病院薬学認定薬剤師の取得には最低3年の研修期間が必要で、こちらも研修による単位取得が必要になります。
この、認定がないと、〇〇認定薬剤師の申請ができません。

例年の流れとしては、
病院薬学認定薬剤師は4月に申請→6月に試験→7月に認定
一方で、
○○認定薬剤師は6月に試験→8月に申請→10月に認定
となっており
○○認定薬剤師の申請(8月)よりも前に病院薬学認定薬剤師の認定(7月)が行われるので、(6)の申請資格をクリアできるのです。

しかし、この方法は2つの認定薬剤師を同じ年に取得することになり、そのために必要な研修(単位)を3年間の間、それぞれで受講(取得)する必要があります。
これでだけで、2倍の努力が必要なわけです。

なお、(4)の後半に書かれている「日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師」は、取得に5年の研修が必要になるので、既に取得済みの方を除いて、実務経験年数短縮の恩恵は受けられません。

今年(2020年)と来年(2021年)は、日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師でも「過渡的措置」として、申請が認められています。
が、その後の更新時に病院薬学認定薬剤師の認定は必要になるので、認定取得後がさらに大変になります(本記事ではその面倒な話は割愛します)

話を戻しますが、経験年数が短縮されても、それによって全体的に取得が容易になった、ということではないのです。

それでも、筆者は好意的に考えます

というか、この改定には大賛成です。

  • とはいえ、こころざした人が「ゴール」を近くに設定できる
  • とはいえ、より若い人が認定を取得できる
  • なので、認定後の活躍の幅が拡がる

これが理由です。

みんながみんなそうというわけではありませんが、年齢と実力ってあまり関係ないですよ。
せいぜい相関するのは、過去の自分と現在の自分くらい。

むしろ、モチベーションの方が、よっぽど実力に関連しているように思います。

実力がある人、とくに専門性を磨くのに適した人はその実力をできるだけ早く患者さんに還元するべきです。
専門的な業務を目指す若い人が増え、(5年に比べれば)モチベーションが維持されやすいというのもいいと思います。

ちょっと飽きっぽい勇者たちが、飽きることなく認定薬剤師になります(笑。

2020年スケジュールはどうなる?

これまでの(当初の予定の)認定スケジュールであれば、4年目の秋(10月1日付)で、認定薬剤師になれたわけですが、今年(2020年)は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、手続きが全て秋以降に延期されました。
新型コロナウイルス感染が収束した場合に、従来のスケジュールに戻るかどうかは不透明ですね。

認定薬剤師の取得に焦る必要はありません

ときどき、認定取得にフルコミットしすぎて、認定取得が最終目的化してしまう人がいます。
○○認定薬剤師へ一直線を目指すあまり、いろいろな学習機会を自己判断で排除してしまう例も見てきました。

若気の至りというやつですが、確かにそれはよろしくない。

もったいない。。。

非常にもったいないです。

ただし、目標に向かって努力をするという姿勢そのものは間違ってはいません。
だから、その歩みは止める必要などありません。

これまで、あまり気に留めていなかった方も、これを機に目標にされてみてはいかがですか?

すでに、目標に向かって走っている方は、ひきつづき頑張りましょう。

筆者の経験は

筆者自身は、まあまあの中堅になったところで、こうした制度が始まり、その時点で振り返ってみて申請資格に合致していたので、「なりゆき」で第1回の試験を受験、そのまま申請、認定という「なりゆき」人生だったため、この数年後を目指して・・・という感覚を経験として持ち合わせていません。

もし、この記事がかなりズレた感覚のものとなっておりましたらご指摘ください。

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この記事の執筆者

なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)
現役の病院薬剤師(勤務歴20年)
複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり