日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師をおススメしないたった1つの理由
日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師(G01) 認定薬剤師(基礎)
薬剤師の認定制度というと、最も老舗(しにせ)なのが、日本薬剤師研修センターの「研修認定薬剤師」です。
しかしながら、なりゆき薬科大学ではこの研修認定薬剤師をあまりお勧めしていません。
この記事では、研修認定薬剤師をおススメしていない理由を解説します。
日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師について
まず、日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師について確認しておきましょう。
日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師http://www.jpec.or.jp/nintei/kenshunintei/index.html
いきなり脱線しますが、画面のメニューバーを見ると研修認定薬剤師だけではなく、それ以外にも複数の認定薬剤師制度を運営していることがわかります。
研修認定薬剤師制度の歴史
認定薬剤師制度のパイオニア
日本薬剤師研修センターは、この研修認定薬剤師制度を立ち上げるために設立された団体といっても過言ではありません。
生い立ちと活動(日本薬剤師研修センターHPより)
当時は、認定制度など誰も考えてなく、それどころか免許取得後のフォロー学習(卒後学習)ができない、やらない、やらせない、みたいな世界観でした。
それは不味いということで、学習機会とその評価体制を構築するためにできた(つくった)のが、日本薬剤師研修センターです。
当然、当時はそんな学習機会などそれほどなかったわけですので、学習機会そのものを用意するところからのスタートだったわけです。
現場の薬剤師さんからはしばらく評価が低かった
とはいえ、日本薬剤師研修センターができたからと世の薬剤師の感覚が、生涯研修~認定取得に向かうわけではありません。
やはり、なんらかのインセンティブ(報奨・・・ごほうび)に繋がらないと、大きなうねりは生まれませんね。
今思えばちょっと残念な感じですが、当時は、やっぱりそんなもんだったと思います。やっぱり
その最初のターニングポイントになったのは、日本病院薬剤師会の「専門薬剤師制度」の設立だったと思います。専門薬剤師になるために「研修認定薬剤師を取得していること」という要件に含まれたことだと思います。
ちなみに次大きなターニングポイントになったのは「かかりつけ薬剤師」の要件に含まれたことでしょうか?
イメージつきにくいかもしれませんが、現在の認知状況はそれほど昔の話ではないのです。
最近はネガティブなニュースで話題をさらった
薬剤師さんにとっては「言わずもがな」のネタですが、もう一度確認しておきましょう。
「かかりつけ薬剤師」に必要な研修受講シール ネットで売買|サイカルジャーナル|NHKオンライン
薬局に勤める薬剤師は、研修を受けるなどの要件を満たすと、患者ごとの薬の処方の状況を把握して管理する「かかりつけ薬剤師」になり、調剤報酬を加算して受けることができますが、この研修を受講したときに受け取るシールがインターネット上で売買されていることがNHKの取材で分かりました。厚生労働省は、研修制度の信頼性を揺るがしかねないとして、研修を行う団体に対策を求める通知を出しました。
研修認定薬剤師は「シールを集める」という手順によって必要な学習単位を積み重ねることになるのですが、この「シール」が、フリマサイトで売買されていたということが、問題視されたニュースです。
まあ、そうですよね。
シール売買に対策要請 かかりつけ薬剤師研修で
患者ごとの状況を把握して適切に服薬指導する「かかりつけ薬剤師」を巡り、必要な研修を受けたことを証明するシールが不正に売買されていることが、4日までに分かった。インターネットのオークションサイトなどで売買されており、厚生労働省は制度への信頼を揺るがしかねないとして、研修を実施する団体に対策を求める通知を出した。かかりつけ薬剤師は、薬の多重服用などを防ぐ目的で2016年度に創設された制度で、診療報
再発防止策として、シールの配布に多くの制約が設けられました。
そのそもの「シール配布」という手法が抱えていた多くの問題にようやく目を向けられるきっかけになり、アナログな方法論から脱却するための議論に結びついたという点で、前向きにとらえておこうと思います。
なお、この「シール」ですが、薬剤師が研修手帳を常時携帯し、研修会場で直接記入されるなどであればよかったのに、なんて思うのですが「研修手帳なんか持ち歩かねーよ」という声が大きかったとかなんとか・・・。
患者さんにはお薬手帳を常時携帯しましょう、という立場の薬剤師が、自身の研修手帳を常時持ち歩くことを拒否していた、なんてことだったら笑えません。
そんな研修認定薬剤師をおススメしていないたった一つの理由
さて、ここが本題です。
ただ、なりゆき薬科大学が研修認定薬剤師取得をおススメしていない理由は上記のこととは関係ありません。
その理由は、ズバリ
研修認定薬剤師は、中・長期的に目標にする必要がないから
です。
誤解されそうな表現ですが、とっても意味がないというわけではないのです。
また、取る必要がないといっているのではありません。
必要に迫られる、という場面にで出会うことは多くあります。
それでも、必要に迫られてから取得することが十分可能なくらいなので、あまり肩肘張って取得をおススメするようなこともないと思うのです。
必要に迫られた場合に、参考になるような記事も書いてます。
研修認定薬剤師を在宅& e-learning のみで取得する方法 | なりゆき薬科大学
認定薬剤師を目指したいけど、仕事の後や休日に研修会へ行くのは難しい。そういった方でも、認定薬剤師取得をあきらめる必要はありません。この記事では、自宅に居ながらにして、日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師を取得する方法を解説します。
認定薬剤師は簡単に取得できるか? | なりゆき薬科大学
認定薬剤師にはいろいろな種類があり、それぞれで認定の要件が異なります。したがって「もの」によってはまあまあ簡単にとれるものもあります。具体的には、努力を評価するタイプ、分かりやすくいってしまうとスタンプラリー形式のやつです。
おススメしない理由について、チョット厳しめの表現を使って、別の表現をすると
薬剤師として、先を見据えて目指す認定としては、あまり魅力がない
といった感じでしょうか。。。
なりゆき薬科大学でよく記事にしている「地域薬学ケア専門薬剤師」の申請要件の1つに、研修認定薬剤を取得していることが挙げられています。
(4)「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師」、「日本薬剤師会・生涯学習支援システム(JPALS)クリニカルラダー5以上」、その他本学会が認めた認定制度による認定薬剤師のいずれかの認定を受けていること。
一般社団法人日本医療薬学会地域薬学ケア専門薬剤師認定制度規程
こういった「次の」認定を目指すうえで「必要に迫られる」場合はあるので、不要ということではないのです。
この記事の執筆者
- なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)
- 現役の病院薬剤師(勤務歴20年超)
- 複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり
これまでに取得した認定や専門の資格についてはこちらをご覧ください