日本緩和医療薬学会の認定制度が3段階制に移行(これはグレードアップか???)

緩和薬物療法専門薬剤師 緩和薬物療法認定薬剤師

緩和医療薬学会の認定薬剤師制度が変わったことと、その影響を理解する。

薬剤師の皆さんであれば、「緩和医療」について、何も知らないということはないと思います。

緩和医療(かんわいりょう、palliative medicine)または緩和ケア (palliative care) とは、生命(人生)を脅かす疾患による問題に直面している患者およびその家族のQOL(Quality of life, 生活・人生の質)を改善するアプローチである。
(Wikipedia)

日本緩和医療薬学会

この緩和医療に熱い薬剤師が多く所属しているのが日本緩和医療薬学会です。

日本緩和医療薬学会

薬剤師の学会あるあるですが、1文字違いの日本緩和医療薬会というのもあるので注意が必要です。

日本緩和医療薬学会では、緩和薬物療法認定薬剤師という緩和医療に精通している薬剤師を認定する制度を作っています。

緩和薬物療法認定薬剤師

こういった特定領域の認定薬剤師は、多くが病院勤務でないと取れないと言われています。
これは実際には誤解なのですが、病院勤務のかたが取りやすいのは確かです。

そんな中で、この緩和薬物療法認定薬剤師は、保険調剤薬局の方でも取得できるような配慮がなされています。
ざっくりいってしまえば、取りやすいということですね。制度としてはすこし変わっています。これも戦略の1つなのでしょう。

その効果もあってか、実際に保険調剤薬局の方がたくさん所属、参加されているようです。

それが、今回、大幅な制度変更を行いました。

認定薬剤師の上に専門薬剤師ができた

変更といっても、緩和薬物療法認定薬剤師はそのまま?にして、その「上位」に、緩和薬物療法専門薬剤師を、「更にその上」に緩和薬物療法指導薬剤師を創設するのだそうです。

詳細は、のちほど日本緩和医療薬学会のホームページで規程を確認していただくとして、改定制度の全体像だけを引用します。

緩和薬物療法認定薬剤師の認定要件は変わっていないので、よりハードルの高い資格が、まさに「上に」2つできた感じです。

緩和薬物療法認定薬剤師の要件は変わらない

繰り返しになりますが、緩和薬物療法認定薬剤師の要件が変わっていません。
なので、その難易度は変わらず同じです。現在すでに認定を取得されている方の更新要件も変わらないようです。
緩和薬物良圃認定薬剤師に関するルールはほぼそのままでに維持しながら、新たな制度を追加した感じです。
おそらく、現在の認定取得者への配慮なのだと思います。

でも、これまで「唯一無二」の資格だったのが、3段階認定の「入口」みたいなイメージになってしまう部分はどうしてもできてしまいます。
図表からは「最下層」という見方すらできてしまいますが、一方で、学会を支える基礎として揺らいではいけない重要な認定であるとも言えます。

図表が三角形になっている通り、上位の認定は、必ずしも全員が目指すべきものではないのでしょう。

さらなる高みを目指すモチベーションとして、上位資格を目指すのも「選択肢の1つとして」いいと思います。

制度追加の背景(憶測)

以前から、上位資格を作る(作りたい)という学会の意向はあったと聞いています。
そしてこういう制度になったことの理由もちゃんとあると思いますし、なんとなく推測できる部分もあります。

日本医療薬学会が、専門薬剤師の制度を見直したこと、時期が一致するのも偶然ではないでしょう。薬機法の改正が大きく影響していると思われます。

現在、緩和薬物療法認定薬剤師を持っているひとが、さらなる高みを目指すモチベーションとして、上位資格を目指すのかどうか?は、その人それぞれの価値観によると思います。

まとめ

筆者のスタンスとしては、できるだけ目指すようお勧めしていますが、設定された要件が自分の環境でできるものかどうかも見極めが必要ですし、あなた自身の価値が下がるわけではありません。


この記事の執筆者

なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)
現役の病院薬剤師(勤務歴20年)
複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり