認定薬剤師に研究実績が求められるようになってきた話
認定薬剤師に研究実績が求められるのがふつうになりつつある
実力と経験を評価する認定薬剤師では研究実績が求められることが多い
研究は薬剤師の業務に直接関係ないと思うけど、どうして認定薬剤師の要件になっているのか?
実力と経験を評価する認定薬剤師の制度、とりわけ、領域に特化した認定薬剤師の制度では学会発表や論文発表の実績が求められることが多くなってきました。
これは単純に、認定薬剤師取得へのハードルが高くなっていると理解できますが、一方で、冒頭のような疑問を持たれる方も少なくないでしょう。
何で研究実績が必要なの?と。
これについて、各学会で具体的な回答を示しているところはほとんどないと思います(すくなくとも筆者はみたことがありません)。
研究実績が求められる理由
そのうえで、筆者は以下のように考えています。
研究手法についての理解できていることは質の高い薬剤師業務には必須であり、それを図る方法として研究実績が求められている
質の高い薬剤師業務ってなに?
そんな次の疑問がわいてくるでしょう。
引き続き、筆者なりの解釈を説明します。
医薬品の有効性や安全性は、いくつもの研究の成果が積み重なってできています。
医薬品について、薬剤師が深く理解するには、この積み重ねられた研究について、理解する必要が出てきます。
研究の成果を理解するためには、いろいろな知識が必要です。
もちろん、知識は座学によって得ることができます。
分かっている人はいるでしょうし、自分だってちゃんとわかっていると主張する人もいるでしょう。
しかしながら、最後の最後、結果の解釈には、研究経験の有無がそれなりに影響します。
すこし小難しく言うと、不確実性に対する許容度が変わってくるんです。
人間の体や、病気や、薬の効き方は、単純なものではありません。
それを可能な限り、いろいろと無理もしながら、白黒決めようとしたのが研究なんです。
反対に、この一見白黒はっきりしているものを、またグレーな世界にあてはめないといけないのが、(実地)医療なんです。
この哲学的なモヤモヤ感を受容すること、理解することが必要で、そのための手段の一つが
自分で実際に研究をしてみること
なのです。
認定薬剤師で特に求められるのは「臨床研究」の実績です。それは、医薬品の有効性安全性を証明しているのが、ほかならぬ臨床研究だからです。
研究実績といっても、すごい成果が求められているわけではない。
研究実績といっても、画期的な発見が求められているわけではありません。
- 学会で発表する
- 国内向けの日本語の雑誌に論文が掲載される。
のが1~2個あれば、ほとんどの認定薬剤師の要件はクリアです。
これくらいの実績で十分です。
これくらいって、それが大変なんだよ・・・。
というご意見、ごもっともです。
でも、筆者は、そこを頑張って、学会発表、論文投稿することをお勧めしています。
「なりゆき薬科大学」は研究や学会発表のサポートも行っていきます。
この「なりゆき薬科大学」でも、学会発表や、論文投稿を目標にした、ゼミの開講(という名の投稿)などを計画中です。
ただ、この道のりは、やはり簡単ではありません。それなりに長いので、忍耐力は必要になってきてしまいます。
それでも、筆者独自のちょっと斜め上な発想から、ほかでは「ありえない」であろう方法論で教えていきたいと考えています。
とはいえ、決して邪道ではないのでご安心を。
この記事の執筆者
なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)
現役の病院薬剤師(勤務歴20年)
複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり