ややこしい日本病院薬剤師会 e-learning 受講履歴をどう管理するか
この記事では、日本病院薬剤師会 e-learning の受講履歴を管理する方法のひとつをご紹介します。
日本病院薬剤師会 e-learning は、講義を受講して講義後のテストに合格すると所定の単位を取得できますが、その単位の管理が結構大変で
いつ
なんの項目を
何単位か
を常々把握することがなかなか難しいです。
前提:日本病院薬剤師会の e-learning 受講がおすすめ
なりゆき薬科大学では、病院薬剤師の方に、日本病院薬剤師会が主催している e-learning の受講をお勧めしています。
その理由は、少し回りくどい説明ですが以下の通りです
- 日本病院薬剤師会が認定する「病院薬学認定薬剤師」を取得するために絶対必要な研修項目の受講が可能
「I」の項目とか「Ⅱ」の項目は、e-learning 以外ではほとんど開催されることがないので、特に貴重 - この「病院薬学認定薬剤師」は、その上位にある「○○認定薬剤師」や「✕✕専門薬剤師」になるためには絶対に取得しないといけない
- 「病院薬学認定薬剤師」取得には、どうあがいても絶対に最低3年は必要で、かつ、申請は毎年3月~4月の1回だけなので、現状予定はなくても、「とりあえず」走り出しておくことが重要
- 各項目を広範囲にカバーでき、かつ、確実に受講できて、5,000円(会員価格)は単位単価のコスパ最強
参考記事
日本病院薬剤師会 e-learning 申込みを画像31枚で解説 | なりゆき薬科大学
日本病院薬剤師会の2020年度 e-learning が利用可能になりました。今回は、実際にこの e-learning に申し込み方法を、実際の画面スクショを使ってお教えします。
病院薬学認定薬剤師の単位要件は複雑
この e-learning の先にある、日病薬病院薬学認定薬剤師の認定に求められる研修単位は、領域と単位数が細かく決められているので、これを最終的に満たすよう、ある程度の計画的な受講が必要です。
把握しておかないといけないポイントは以下の4点かと思います。
- 受講可能期間が講義ごとに異なる
(現在公開中のものだと最短で8月末までというものがある) - 1つの講義は、通算で1回のみ単位取得可能
(例えば、昨年度に受講して単位取得してしまったものは、今年度は受講しても単位にならず、昨年度を振り替えるようなことはできない) - 研修領域に偏りがないようにする
(認定要件が結構複雑で、バランスよく受講しておかないといけない) - 単位数が不足しないようにする
(1年間に最低●単位、というハンデがある)
単位数 ✕ 領域 ✕ 年度
で、考えないといけないので、結構アタマを使います。
参考記事
日本病院薬剤師会 e-learning コンテンツを確認しよう | なりゆき薬科大学
日本病院薬剤師会の2020年度 e-learning が利用可能になりました。申し込みができれば、あとは受講していくだけ!なのですが、ちょっとした注意事項というか、知っておいたほうがいい豆知識があるので、今回も画像多めでお届けします。
問題は、この e-learning の受講管理情報を自己管理する方法がなかなか難しいということです。
e-learning のサイトには、取得単位の集計をするような機能はなく、各講義の受講履歴(単位取得状況)のみが表示されているだけです。
受講証明書を適宜発行して手元に取っておく
受講証明書を適宜発行の手続きをして、印刷、あるいはPDF保存をすれば、手元に情報としては確保することができます。
しかし、これは情報が手元に来ただけで、肝心の「単位数 ✕ 領域 ✕ 年度」集計問題は何も解決していません。
セミナー情報がテキストベースで直接コピペできない
もう一つ、情報の保存として簡単な方法は、これらのページをコピペして何かに張り付けて保存するという考えです。
多くのホームページは、カーソルのドラッグで選択したテキストがコピペできたりしますが、これらのページは、カーソルのドラッグでも、ショートカットキーでもテキストを選択することができません。
昨年度(2019年度)まではできていたような記憶もありますので、情報セキュリティの一環として強化したということなのでしょう。
ですので、これらを保存するにはいわゆる「スクショ」の画像として取っておくことになります。
手元に残る、情報の質は、受講証明書発行とほとんど同じですが、手間は比較的楽な方だと思います。
単位数 ✕ 領域 ✕ 年度を自己管理する方法の例
このような事情を踏まえて、筆者は自分用の管理ツール的なものをスプレッドシートで作成して、受講ごとに受講日を記録していくというようなやり方をしています。
お恥ずかしがら実物をお見せするとこんな感じです。
PCだけでなく、スマホやタブレットでも空き時間に受講することもときどきあるので、ほぼリアルタイムでデータ保存される Google のスプレッドシートを利用しています。
画像でしか取り込めない、講義の情報をどうやってテキスト化したか、については、画像で保存してOCRでテキスト認識させたものを、あくせく直してCSV化した、という感じです。
最初の手間はかかりますが、自分の受講戦略と進捗を常に把握できるという点では、時間コストとしてトントンかなと思っています。
講義リストは、毎年すべてが入れ替わるということではないので、追加された部分をその都度(というか、ときどき)追加するようにしていて、ストレスはないです。
ITスキルに腕の覚えがある先生は、Pythonとかでもっと効率的にできるんだろうかと思います(ここが何言ってるかわからない人は、無視して先に進んでください。全く影響はありません。)
講義単位管理用スプレッドシートファイルを共有します
これだけ説明しておいて、そのメンドくさそうなスプレッドシートファイルは各自で作ってね、というのは生産性に欠けると思うので、作成に手間がかかりそうな方向けに、今年度(2020年8月現在)の講義リストを含めたファイルを公開します。
日本病院薬剤師会 e-learning 受講記録シート(2020年8月)
このファイルは、Google スポレッドシートを閲覧権限のみで公開しているものですが、エクセルの形式でダウンロードが可能です。
ただし、こちらのファイルの動作については各自の力量の範囲でお願いいたします。ご質問等には一切お答えできないのでご了承下さい。
ダウンロードの方法
ダウンロードは、画面左上のあたりにある「ファイル」メニューをクリックします
プルダウンでサブメニューが展開されるので、「ダウンロード」→「Microsoft Excel(.xlsx)」を選択。
するとファイルの名称と保存先を指定する見慣れたウインドウが出てきますので、保存してください。
エクセルでの使用方法
なお、エクセルのバージョンが古いと動作しない可能性があるみたいです。
一応使い方ですが、ファイルを開くと、「record」というシートと「total」というシートがあります
「record」シート内の「attend-date」に受講日を入力します。
入力したら、「total」シートを見ます。
「record」で入力した日付から年度ごとに単位を集計して、過去3年分の合計が「sec」の列に表示されてます。
さらに、病院薬学認定薬剤師の要件に足りているかどうかの判定が「credit-new」の列に表示されます。
「none」はまだ不足している状態、
「clear」は(その項目についてのみ)要件を満たした状態
をそれぞれ示しています。
あと何単位足りないか?については、表示させてませんが、全体の合計がわかることと、過不足が分かることで対応はできると思います。
なお、ファイルにロック等はかけてませんし、そんな大した機能を使っているわけではないので、自由に改変してください。
まとめ
日本病院薬剤師会の e-learning は学ぶ機会を得るということと、ほかではあまり聞けない内容のものもあり、大変有用です。
ただ、その受講状況の管理は、サイト側ではやってもらえないので、各自でかんばって記録しないとです。
それが嫌で、面倒で、やらないとか、やめてしまうというのは非常にもったいないです。
(病薬がこういう「動機」について、もっと深く考えていただけるようにしていかないといけません)
そんなに簡単ではないですが、それでもちょっとはマシに管理できる方法を紹介しました。
活かせる部分は活かしていただいて、引き続き勉強をしていきましょう。
この記事の執筆者
なりゆき専門薬剤師(諸般事情により匿名)
現役の病院薬剤師(勤務歴20年)
複数の認定薬剤師・専門薬剤師を取得、活動歴あり